私たちが仕事にしている登記には、表題登記と権利登記の2種類があります。表題登記とは、土地なり建物なりの物理的な状態を数字や図面にして紙に表す登記のことを言います。いっぽう権利の登記とは表題登記によって確定された不動産にまつわる、権利の状態を正確に表すための登記です。
表題登記とは目に見えるもの紙に書き表わす登記、権利登記とは目に見えないものを紙に描き出す登記ということもいえます。
両者は似て非なるものです。まったく別物なのですが、時々同じ登記という言葉であるがゆえの悲劇や喜劇が起こります。今日もそれで大騒ぎでした。
家を新築した場合、まず表題登記を行わなければなりません。この仕事を行うのは土地家屋調査士という仕事の人です。
家が出来上がっていよいよ引き渡しというときに、何をするべきかについて記します。
家の引き渡しとは、鍵の引き渡しであり新築家屋に対する物理的な支配を買主に移転する行為です。当然家屋の売買代金や工事代金と引きかえです。
手持ちのお金で家を建てる人は別ですが、住宅ローンで借り入れをしてその借入資金で家を建てている場合は、引き渡しと引きかえに支払う金銭は銀行から融資を受けた金銭ということになります。
その融資を受けたお金、そもそも融資を受ける条件ということがあるのを、うっかり忘れてしまう人がいます。
私たちはお金の流れやお金が出るタイミング等についてはタッチしませんので、部外者の立場で見ていられるのですが、銀行によって 住宅ローンのお金を出すのは登記実行と同時という金融機関があります。
いっぽう、登記が資金の工夫より若干遅れても構いませんという、銀行もあります。いわば2種類のスタンスで対応されています。
本日問題が発生したのは、金融機関側は前者(融資と登記持ち込みは同時)を当然の前提と考えていて、反対に施工業者が融資金の交付と登記とは別個に処理すればよいと考えていた場合でした。
融資の実行と同時に登記をするとゆうのは、司法書士の世界では、融資と同時に権利登記を申請するということです。
もっと細かく言えば、融資の実行までに表示登記が終わっていて、融資と同時に所有権保存登記と抵当権の設定登記をすることを言います。
金融機関の人が、何気なく「融資の実行する当日に、表題登記が終った登記簿謄本を取ってきてくださいね」と建築業者さんに伝えたところ、建築業者さんの担当者は目がうつろになってしまって視線が空をさまよっていたということでした。融資の実行日に登記の持ち込みをする(しかも権利の登記です)などということは全く考えて居られなかったようで、思わず目もうつろになってしまったのでしょう。
目がうつろになったのはこちらも同じで、それではとても予定の期日に間に合わないではないか、施工業者さんの担当者の方にお尋ねしたところ、その担当者も同じように考えており、融資の実行日を表示登記が終わるまで伸ばさざるを得なくなりました。
無理に無理を重ねていって最後の土壇場で間に合わなくなってしまうよりは、早めにギブアップしてしまった方が傷は浅いと思われたからです。
金融機関というところは、資金を表に出すまでに厳重な条件が付されていて、その条件を満たすために多くの手順を踏んでやってきているので、差し迫ったところで急にできなくなりましたということは非常にまずいわけです。また、表題登記が間に合わないから、事後的に登記をすればよいというような扱いに変更することもできません。
以上の状況になってしまいますと、もう登記を伸ばすしか方法がないわけで、施主からも金融機関側からも了承を得ました。これで1件落着しましたが騒々しい1日でありました。
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