自慢じゃありませんが、このところ補正にひっかかるような登記はほとんどやっていませんでした。
とびきり腕が優秀な訳ではありません。そこそこです。
あんまりおかしな案件がやってこないというだけでした。
年末が近くなって、いろいろと面白い案件がでてきました。
役員改選を8年もやっていない会社とか、設立後一度も理事長の改選をしなかった医療法人とか、誰がどう読んでも、意味不明の公正証書遺言とか、妻の両親のところに養子に入ったつもりだったが単に妻を筆頭者とした戸籍に入っただけであった等とあれこれ入り組んだ話が出てくるようになりました。
その1、印鑑証明書の記載をもって、住所を証する書面とすることの可否
始まりはこれでした。相続登記をうときに、物件を取得する相続人の住所証明書をつけますが、住民票を取っていないときでも遺産分割協議書用に印鑑証明書をとってありますから、これを住所を証する書面として使うことがあります。
また、よくあるパターンで銀行ローンをつけて不動産を取得する場合、抵当権設定登記用に準備した印鑑証明書を、その前の所有権移転登記の買主の住所を証する書面として使用することもあります。
ところがこれにクレームがつきました。「こんな方法見たことない」。こちらは「そんなこと言われたことない」という按配でらちがあきません。
どうなるのでしょう。私の方でも調べてみると、印鑑証明書を住所証明書の代わりとして使用できないと記された文章が見当たらないのです。どういう結論が出るのか、法務局の方でもっている文章を送ってもらう予定でいます。
その2、設立から一度も理事長の改選をしなかった医療法人
10年目ぐらいに、理事長の改選を登記したようです。設立後は2年で任期満了退任とし、選任せぬまま8年間を過ごし、10年目に新規に理事長を就任したと登記されています。となると、その任期は初日の途中から始まりますので、任期計算をするにあたり初日不参入とされます。一般的に医療法人の理事の任期は2年間、任期満了後後任者が就任するまで任期は延長されますので、平成16年10月25日就任と登記されていた場合、初日不算入で計算すると、平成18年10月25日の満了をもって任期満了する、したがって10月26日重任となります。
ところがこれが問題を引き起こしました。今年の定時総会の開催日が平成18年10月24日であった関係で、26日重任だとすると予選の予選という問題を引き起こすわけです。しかも間の悪いことに、今回は理事に変動があり、定時総会前の理事と定時総会後の理事には変更があります。すると理事会の構成員が、現在在籍している理事以外の理事によって占められることになり、現在の理事でない人が理事会を開き理事長を決することになり、それはやはりおかしいとなります。
となると、定時社員総会は10月の25日に開催すべきで、そうであれば25日に任期満了する理事を25日の総会で選任する関係上予選にはならないというべきなのでしょうか?もしくは同日であれば、何時間か先に入れ替わる役員を決めることも予選等ならないと理解すればよいのか?
ちょっと疑問があります。
その3、株主総会議事録に出席監査役の氏名がなかったために監査役の就任承諾書を要求された事例
定時株主総会で監査役が辞任をし、新しい監査役を選任しました。議事録は商法時代の議事録をそのまま流用し、特に出席役員の氏名などは書き込んでいませんでした。選任議案の末尾に、「なお選任された○○氏は即時就任を承諾した。」とやって登記申請したところ、株主総会議事録に、出席監査役の氏名が記載されていない場合、いくら「なお選任された○○氏は即時就任を承諾した。」と書いても、就任を承諾した書面として議事録の記載を援用できないといわれました。出席しているか分からない人が「即時就任を承諾した」とやっても、矛盾しているということでしょうか。
なお監査役は、株主総会議事録に署名する義務はないので、名前さえ載っておれば印鑑を不用とのことでした。
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